Q043:我が家のさるすべりですが、アブラムシ類にやられすす病とで真っ黒です

投稿日:2007/12/23(Sun)

Q:43-1   我が家のさるすべりですが、かなり大きな木を移植して30年近くなります。ここ7~8年前からアブラムシ類にやられすす病とで真っ黒です。何回も薬剤を変えて駆除に挑戦してますが4~5日後にはまた害虫がびっしりと葉の裏に付いてます。
  さらに心配してるのは、葉が薄く真夏に黄色くなって葉を落としてしまいます。その後、再度若葉が出て来ますが小さい葉です。害虫の影響ではないと思い根元を掘ってみましたら、40cmくらいから非常に土が硬くツルハシでなければ掘れません。木が大きくなって根が張れなくなっているのかなと思いますが改良なんて出来るのでしょうか。大切にしているので枯らしたくありません。

A:おっしゃるように根が張れずに樹勢が弱ったところに再三害虫に樹液を吸われて参っているのでしょうね。土壌改良は出来ます。幹周の3~4倍あたりの円周を掘って土を入れ替えるなり土壌改良材を混ぜて埋め戻すなりすれば良いのですが、古い木ゆえいっぺんに作業せず今回は半周だけやって来年残りをやりましょう。

幅4~50センチ、深さ60センチくらいに溝を掘りますが、この時根にも当たるでしょうから太い「力根」以外は溝の壁に沿って切断して構いません。ただし切り口はナイフで切ったようにスパッとキレイに切ってください。ちぎったようになっていると腐れます。根切りした部分から新しい根が出てくれば枝も更新されて元気になる場合もあります。
土は既存の物の上質な部分は再利用し、粘土質や固い土は処分して新しい土を客土します。土壌改良材は腐葉土や堆肥とAGロックやネニサンソなどを20%程度加えると効果的です。古い土と新しい土と改良材同士はあまりきちんと混ざらない方が根が自分が行きたい土を選べるので良いとされています。ざっくりと混ぜましょう。微生物の力を借りて土壌改良する商品も色々ありますので調べてみてください。肥料(特に化学肥料)は混ぜない方が無難です。緩効性の固形有機肥料やパイル肥を埋め戻した後に与えればよいでしょう。
埋め戻しが終わったら灌水しますが、この時にメネデールやHB101などの活力剤を混ぜてやります。ダボダボになるまでたっぷり水を入れて棒で少し突いてください。この時期でしたら午後の灌水は凍結の恐れがあるので午前中にお願いします。
根切り、土壌改良の時季としては関東以南なら今頃でも良いですが、根が動き出す直前1月後半から2月中旬頃が良いと思います。

消毒は1~2月に3~4回、石灰硫黄合剤を散布(あるいは塗りつけ)してください。葉のない時期なら7~10倍の濃いものが使えます。カイガラムシや病気の予防にも効果的です。
シンクイムシが幹や枝に入っている可能性も大いにありますので地際や幹の途中に穴が空いていないかチェックして、穴があれば薬液を入れてパテなどでふさいでください。来年アブラムシが再来するでしょうが早めに対処してください。アルミ箔の小片を枝にぶら下げておくとアブラムシが寄りにくいという説があります。反射光を嫌うそうです。

あなたのように木の「根」に目をむけてくださる方がおられるととても嬉しいです。どうか頑張ってサルスベリを助けてあげてください。

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投稿日:2008/08/10(Sun)

Q:43-2   前回、サルスベリの葉が夏場に落葉するとのことで相談頂いたものです。早速本年(2008年)の2月頃に穴を掘って堆肥と腐葉土を入れ、HB101を混ぜた水をたっぷり施しました。石灰硫黄合剤も7~8倍溶液を刷毛で2回塗りつけ2回噴霧しました。
  結果、まずまず(まだ完全ではありませんが)の葉と花の状態で落葉はしそうにはありません。ただ、枝の2割程度は葉が出てこず枯れているようです。また、すす病は以前よりましですが発生していますし、昨年に比べてアブラムシはめっきり減りましたがハダニは減っていないようです。
  殺虫剤は蝉やらてんとう虫が気になってやれていません。
  さて、これからですが葉が出てこない枝は切り取って良いのでしょうか。それと、来年はどうしたら良いですか。この2月に掘れなかったところは庭石やら他の樹木があって掘れません。(周囲の半分は掘れない状態です。)

A:頑張っていらっしゃいますね。

今までの作業には問題はないと思います。掘れない部分は無理にやらなくて良いでしょう。2月に有機質の肥料と石灰硫黄合剤の散布を続けてください。
スス病が未だに出ているということは、やはりアブラムシやカイガラムシの駆除が十分でないと言うことです。ハダニはサルスベリにはあまり付かないと思います。細かいカイガラムシもいますのでそれではないでしょうか?

葉が出てこない枝は表皮を削ってみて枯れ木のように茶色ければ切除して構いません。枯れ枝からは絶対に芽は吹きません。緑色ならそのまま様子を見てください。

セミのようにアブラムシの何倍も体が大きい虫にはアブラムシ用の薬は効きません。子供が1錠しか飲めない薬を大人が3錠飲んでも平気なのと同じです。体の割合に対して毒性がどのくらいあるかと言うことですからアブラムシにとっての致死量でも体が何倍も大きい虫にとっては殺傷能力はありません。テントウムシも成虫にはたぶん効かないでしょう。ただ幼虫だとダメージはあるかもしれませんね。実際、薬剤散布によって天敵まで一緒に殺してしまっているということは確かにあるようです。難しいですね。
優先順位をどう付けるかという問題にぶつかってしまいますが、スス病を無くすにはとにかくアブラムシやカイガラムシをやっつけるしかありません。古木の命とテントウムシの命の天秤ですね。