投稿日:2012/08/28(Tue)
Q:1.モチノキ(幹直径30cm)の内部に「うろ」ができているようで、剪定して枯れた太い枝からアリが出てきたのですが、どう対処すればよろしいでしょうか。
アリ退治にはスミチオン1000倍に希釈したものがよいと思い、ペットボトルにいれて流しこもうと考えているのですが、どうでしょうか。
2.「うろ」についてですが、剪定(葉と枝)と同時に根っこも切断して上下のバランスを整えないとできるということを耳にしました。
休眠期ではないときにモミジやモチノキの根切りしても大丈夫でしょうか。モミジは盆前に毎年葉刈りして、モチノキは年に2回剪定しています。
A:まず1.についてお答えします。
アリ自体は木を枯らす原因ではありませんのでアリ退治に執着する必要は無いのですが、心情的には理解出来ますので助言いたします。
スミチオンにはアリに対する適用が表示されていませんので厳密に言うとアリ専用の例えばアリアトールとかを使用した方が正しいでしょう。ただし、経験上から申し上げるとスミチオンなどでも使えないことはありません。
でも1000倍の薬液を穴から流し込んでも全部のアリに薬液がかかる確率は低いので、もっと濃いめにして(私なら100倍くらいにして)流し込み、パテや粘土で穴にフタをして内部にガスを充満させた方が行き渡ります。流し込む穴より上部の幹にも穴があれば塞ぎ、下部から薬液が流れ出る部分があればそこもフタをします。シンクイムシなどはこのような方法で退治します。
あくまでもアリを退治する必要があるならばの話ですし、教科書的な答えではありません。
2.について
うろは上と下のバランスを整えないとできるという説は聞いたことがありませんし、経験的にも納得しがたい話です。
うろが出来る原因は前述のシンクイムシなどが元になることもありますが、多くの場合は枝折れや剪定によって生じた傷から木材腐朽菌が入り込むことによって発生します。根を切らないとうろが出来るというのは間違っていると思います。
うろを作りたくなければ木を自由に健全に生かしてあげればよいのですが、住宅事情などからして伸ばし放題というわけにも行きませんのでやむなく剪定するわけですが、正しい時期に正しい位置で木に負担を掛けない剪定を心がけたいものです。
(コジット論参照)
剪定されたがっている木なんて恐らくいませんし、根っこを切って欲しいと思っている木も居ません。特に夏場から秋にかけては木はたくさん光合成をして来年の発芽の為の養分を生成し蓄積したい時期ですから根も葉も失いたくないはずです。
(まあ人間はそれを逆手にとって木をいじめることで木の生長を抑制し我が庭にとどめておこうとするわけで、そのお陰で我々植木屋が食っていけるわけですが、、、。)
で、お答えとしては
うろ対策のために根を切る必要性は無いし、時期が悪くあまりにも木がかわいそうなので根を切るのはやめておきましょう。
必要があるときに、木と折り合いを付けながら剪定も根切りもさせてもらいましょう。
移植に備えるときや、細根を増やして肥料分を吸収させたいとき、木をコンパクトに保ちたいときなどに休眠期が終わる直前を狙って根切りはしてください。