CODIT(コジット)論とは?
①寸胴(ずんど)切りを避ける
②切る位置と角度を誤らない
③最適な切断角度を知る
④切断ラインの出し方
具体的な切断ラインの決め方をお教えしましょう。写真を参照してください。
まず、切ろうとしている枝の通り(芯)を出します。縦に引いた線がそれです。次に枝の股の部分の少し上(太さによって違うが5mm~1cm)の所から枝の通りラインに垂直に交わる線を引きます。(あくまでも枝の通りに対して直角に交わるように引いてください。地面に対して平行とかではありません。)
ここで写真をよく見てください。木の股のところから下に向かってグジグジグジとひだのようなものがありますよね?これをバークリッジ(branch bark ridge)というのですが、このバークリッジと先ほどの枝の通りに垂直に交わる線(仮にSラインとします)とが構成する角度を見てください。この写真の場合だと約80度から85度といったところでしょうか。このバークリッジのラインとSラインが構成する角度を1/2に分ける角度線を引きます。この、最後に引いた線が切断線というわけです。このラインを守って枝を落とせば腐朽菌の侵入を最小限に抑えた剪定ができるのです。
最後に注意していただきたいのは、バークリッジの一番上のグジグジとなっている部分をノコなどで傷つけないこと。必ず1cm程度離してください。股のど真ん中から切ると、この大事な部分(ちょっと卑猥ですか?)をだめにしてしまいますのでくれぐれも慎重にラインを決め、正確に切断してください。
それから、言うまでもありませんが、いきなりこの”
黄金ライン”に刃を入れるなんて無謀な切り方はしないでください。太い枝は当然上から少しずつ刻んで、”黄金ライン”の少し手前で一度切り落とし、それから大きく深呼吸してから全神経を集中して、慎重に切り進んでください。上からだとノコが入らず、下からしか切れない場合もよくあります。ラインより外側で切ってしまった時はもちろんもう一度切り直してください。ラインより内側に切り込んでしまった場合は残念ながらあなたは失格です。木に一生懸命謝るしかありません。
⑤切り口の処理と経過観察
切り口はできればカンナ等できれいにするのが理想です。特にチェーンソーで切った場合は切断面が荒れてしまうので、ひと手間が掛けられるのならば是非お願いします。
昔は切り口にペンキを塗りましたが、現在の樹木医的見解だと塗っても塗らなくてもよい、むしろ何も塗らないほうがよいということのようです。
Shigo先生は「自分の唇に塗れないものは切り口に塗るな。」とおっしゃっていますが、私はそう言われてもやっぱり不安なのでデンドローサン(ドイツ製・殺菌剤入りの癒合剤)を塗っています。
切断した木は数年間経過観察をして自分の切り方が正しかったか見極め、次の作業に生かしましょう。写真のようにカルスが傷口を覆っていってくれれば成功です。